世界最大級のヘッジファンドによる国債取引に、規制当局からの監視が強まっている。当局は人気の高い戦略のレバレッジを制限する措置を検討している。
イングランド銀行(英中央銀行)とスイスのバーゼルに拠点を置く国際決済銀行(BIS)は2日にそれぞれ公表した報告書で、ヘッジファンドが国債などを担保に資金を借り入れるレポ取引を通じて積み上げているレバレッジについて検証した。
両機関は、少数の大手ヘッジファンドによる借り入れが金融安定への潜在的なリスクになると指摘した。
レポ市場で積み上げることができるレバレッジを制限する案が議論されている。イングランド銀行(BOE)と金融安定理事会(FSB)は共に、レポ取引で担保に必ず一定以上の割引率(ヘアカット)を適用することを義務づける最低ヘアカット(minimum haircut)の導入を提案している。
これにより、担保価値が低めに評価され、借りられる額が減り、レバレッジが抑制される。業界は同案に反対している。
問題の核心にあるのは、ヘッジファンドの相対価値(レラティブバリュー)戦略が過度なリスクを抱えているかどうかだ。現物債と先物価格のわずかな差からの利益を狙うベーシス取引も、レバレッジを活用する相対価値戦略の一つだ。
業界側は、こうした取引が市場流動性の改善につながると主張するが、英中銀は市場ストレス時にレバレッジ取引が急速に巻き戻されれば、強制売却の「負の連鎖」を誘発する恐れがあると警告した。
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オーバーナイトのレポ市場は、ベーシス取引を含む多様なヘッジファンド戦略にとって重要な資金調達源だ。平常時であれば、この戦略は現物債と先物の価格差を縮小させ、市場のミスプライシング修正に寄与する。
規制当局が懸念するのは、市場ストレス時にヘッジファンドが短期間でポジション解消を迫られ、強制売却が誘発されるリスクだ。
マネージド・ファンズ協会(MFA)のチーフ・アドボカシー・オフィサー、ジリアン・フロレス氏は、オルタナティブ投資ファンドによる債券売買は「市場流動性を高め、ボラティリティーを低下させ、政府の借り入れコストを引き下げる」と主張。「運用者が導入する堅牢なリスク管理や、カウンターパーティーが課す証拠金要件が、市場ショックへの耐性を高めている」と説明した。
規制当局の懸念の核心にあるのは、大手ヘッジファンドのレポ取引の大半が、ほとんどヘアカットなしで行われている点だ。2日に公表されたBISの報告によれば、上位10ファンドに対して銀行が適用するヘアカットは平均でゼロ近辺だった。
これにより、これらファンドは「小規模な同業他社に比べて非常に高いレバレッジ」を得られると、BISは分析した。論文は「こうした大手ヘッジファンドは主要ディーラーにとって重要な顧客であり、ディーラーはより有利なヘアカット条件を与えることで、この強固な取引関係に報いているように見える」としている。
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最低ヘアカットを巡る規制論議は決着にはほど遠い。今年公表された米連邦準備理事会(FRB)研究者の論文は、最低ヘアカットが「保護を大きく高めることなく、レポ市場や証券市場の流動性を低下させる可能性がある」と指摘した。
国債市場が世界金融システムにとって極めて重要であり、銀行がリスクテークを抑える中でヘッジファンドの役割が拡大していることを踏まえると、この問題は今後も重要な政策課題となる見通しだ。
原題:
Hedge Funds’ Leveraged Bond Trades Draw Regulatory Scrutiny (1)(抜粋)
— 取材協力 Tom Rees and Laura Avetisyan






