欧州は経済立て直しに向けた措置をためらい、さらに何年も繁栄を失い続けることはできない。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁がこのように警鐘を鳴らした。
ラガルド氏は21日、フランクフルトで開催の欧州銀行会議の基調講演で、就任以来一貫して訴えてきたテーマに改めて触れ、欧州統合を推進するためのより多くの、より賢明な措置が必要だと強調した。とりわけ、欧州の輸出主導型の経済モデルはもはや時代に合っていないと指摘した。
「欧州はより脆弱(ぜいじゃく)になっている。それは安全保障や重要原材料の供給を第三国に依存しているためでもある」と分析。「米国の関税引き上げ、ロシアによるウクライナ侵攻、中国との競争激化などにより、世界的な衝撃が強まっている。その間に、域内市場は立ち止まっていた」と指摘した。
ラガルド氏は講演の中で、欧州が世界経済の変化に対応できるよう構造的な改革と連携強化を急ぐ必要があると訴えた。
このイベントでのECB総裁の登壇は例年、何らかの形で欧州統合を促す呼びかけとして知られており、とりわけ資本市場の統合に焦点を当ててきた。今年はその口調が一段と厳しかったといえる。
ラガルド氏は講演の冒頭で、就任直後だった2019年11月に同じ会場で行った自身の演説を引き合いに出し、当時欧州に「野心の再設定」を促したことを振り返った。
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「単一市場を真に単一のものにできれば、欧州の成長は他者の決定ではなく、自らの選択に左右されるようになる。これが6年前の私のメッセージだった。そして今、その必要性はいっそう差し迫っている。さらに6年間、何の行動も起こさず成長を逃すようなことがあれば、それは単に残念なだけでなく、無責任だ」と論じた。
ユーロ圏では、生産性の低さや潜在成長率の弱さを巡る懸念が政策当局者の間で根強い。
ラガルド総裁(中央)、コメルツ銀行のベッティーナ・オルロップ最高経営責任者(CEO、左)、ドイツ銀行のクリスティアン・ゼーヴィングCEO(右)(11月21日、フランクフルトで開かれた欧州銀行会議で)
Photographer: Alex Kraus/Bloomberg ラガルド氏は、欧州連合(EU)が抱える問題の解決策は「ガバナンスに行き着く」と述べた。ある加盟国で合法と認められた商品やサービスを域内全体で認め合う「相互承認」をさらに推進すべきだと訴え、こうした仕組みをデジタル経済にも適用するよう求めた。
「単純多数」ではなく、人口や加盟国数を勘案した「加重多数」に基づく「特定多数決」を通じて意思決定を効率化することや、各国法に加えてEUの法的枠組みを併存させる「第28の法制度」の活用も有効だと述べた。
ラガルド氏は講演の中で、欧州が持つ強みにも言及。その一つとして、防衛やインフラ向けの財政刺激策が「欧州にとってちょうど良いタイミングで実施されており、成長に明確な効果をもたらす」と述べた。
同時に、地域が抱える構造的な弱点について、脆弱性は「静かに成長をむしばんでいく。新たな衝撃のたびに、われわれの軌道はわずかに低下していく。時間がたつにつれ、この失われた成長と生産性低下の累積効果は看過できないものになる」と語った。
講演では金融政策への言及は多くなかったが、現行サイクルでECBがこれまで講じてきた措置について「金利をピークから200ベーシスポイント(bp)引き下げた。これにより金融環境は一段と緩和され、需要を下支えする効果が出始めている」と述べた。
「インフレ率が目標水準にとどまるよう、必要に応じて政策を調整し続ける」と付け加えた。
原題:
Lagarde Urges Europe to Spur Growth or Be Held ‘Irresponsible’(抜粋)
— 取材協力 Alexander Weber
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