昨日の米国経済ニュースから、注目すべき5つの動きをまとめて解説します。米連邦準備制度理事会（FRB）の利下げ観測の変化や、株式市場の変動、トランプ前大統領の対外政策、エネルギー・テクノロジー・暗号資産市場の動向など、マクロ経済とマーケット双方から米国経済の現状を多角的に見ていきます。
Contents
- 1 FRB金融政策“利下げは年内1回”への転換（出典：Fed Meeting: Hawkish Shift Likely Amid This New Concern）
- 2 2025年後半の株式市場見通し：反発力は続くか（出典：What Will Markets Bring In The Last Half Of 2025? Here Are A Few Clues.）
- 3 政策リスクと貿易摩擦～トランプ関税の影響（出典：What Will Markets Bring In The Last Half Of 2025? Here Are A Few Clues.）
- 4 エネルギー・コモディティと海外市場（出典：What Will Markets Bring In The Last Half Of 2025? Here Are A Few Clues.）
- 5 暗号資産とETF市場の台頭（出典：What Will Markets Bring In The Last Half Of 2025? Here Are A Few Clues.）
FRB金融政策“利下げは年内1回”への転換（出典：Fed Meeting: Hawkish Shift Likely Amid This New Concern）
2025年6月の米連邦公開市場委員会（FOMC）では、インフレ懸念や中東情勢により、政策金利の利下げ見通しが従来よりもタカ派寄りに。据え置きが続き、今年の利下げは年内1回（25ベーシスポイント）の予想が優位となっています。一方、労働市場はやや減速しつつも底堅く、5月の非農業雇用者数は13.9万人増と予想を上回りました。しかし、過去月は下方修正されており、市場はパウエルFRB議長の雇用見通しと「労働市場の堅調さ」判断にも注目しています。FOMCメンバーの多くは「高インフレの持続を警戒しつつ、失業率増加なら利下げへ」とバランスを取る姿勢を示しています。（出典：Fed Meeting: Hawkish Shift Likely Amid This New Concern）
2025年後半の株式市場見通し：反発力は続くか（出典：What Will Markets Bring In The Last Half Of 2025? Here Are A Few Clues.）
2025年前半の米株式市場は激しい調整を経て急反発し、4〜5月にはS&P500が約18%幅の上昇局面を記録。足元では過去最高値から2〜3％下落した水準にありますが、エド・ヤルデニ氏（Yardeni Research）は「年末までにS&P500が6,500に到達しうる」と7.5%上昇を展望。一方、OECDは米GDP成長率を2025年1.6%、26年1.5%へと減速予測。インフレはピークアウトしたものの、FRBが早期利下げに動くかは不確実であり、市場の根強い警戒感も見られます。セクター別ではIT・医療が利益成長を牽引する一方、エネルギーは低調です。（出典：What Will Markets Bring In The Last Half Of 2025? Here Are A Few Clues.）
政策リスクと貿易摩擦～トランプ関税の影響（出典：What Will Markets Bring In The Last Half Of 2025? Here Are A Few Clues.）
4月にトランプ前大統領が複数国へ平均20%以上の追加関税を発表した際、米市場は急落しましたが、その後中国との協議一時中断・関税一部延期で幾分安堵ムードが広がりました。現状、米国輸入物品への平均関税率は12-13%（GDPの1.6%相当）と試算されており、ノースウェスタンミューチュアル・マット・スタッキー氏も『皆がコスト負担を分かち合う形だが、ハードランディングにはなりにくい』と分析。通商環境の回復や2026年を見越した投資家心理にも注目すべきでしょう。（出典：What Will Markets Bring In The Last Half Of 2025? Here Are A Few Clues.）
エネルギー・コモディティと海外市場（出典：What Will Markets Bring In The Last Half Of 2025? Here Are A Few Clues.）
2025年前半は原油価格が中東情勢やOPEC増産、再エネ普及の影響で乱高下し、年初来で最大23％上昇。逆にエネルギーセクターの利益は一時▲18.9%と厳しい状況。一方、金や銀・銅などはドル安進行もありそれぞれ30%を超える価格上昇で安全資産として存在感を増しています。国際的にはカナダやドイツ（DAX）は年初来で2桁成長、香港ハンセン指数も約20%上昇など、通商摩擦下での株価堅調さが目立ちます。（出典：What Will Markets Bring In The Last Half Of 2025? Here Are A Few Clues.）
暗号資産とETF市場の台頭（出典：What Will Markets Bring In The Last Half Of 2025? Here Are A Few Clues.）
2025年は米国でビットコインや安定型暗号通貨を含むETFの市場拡大が鮮明です。Circle Internetなど暗号関連新規株は上場直後急騰し、ビットコインETFも年初来11%高と伝統的資産を上回るパフォーマンスを記録。業界関係者は『米国が依然として世界の暗号ETF市場をリード。投資家の多様化への対応力が経済全体の回復力にも寄与』と分析しています。投資家心理の不安定さの裏で、新アセットクラスへの資金流入も定量的に観察されます。（出典：What Will Markets Bring In The Last Half Of 2025? Here Are A Few Clues.）
