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トランプ氏にとって米市場は私邸マールアラーゴ、参入には会費必要

記事を要約すると以下のとおり。

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昨年7月、トランプ氏とバイデン氏による最初で唯一の討論会を前に、ブルームバーグ・ビジネスウィーク誌の取材チームは同氏の私邸「マールアラーゴ」を訪れた。トランプ氏がホワイトハウスに返り咲いた場合の経済政策についてインタビューするためだ。
  90分間にわたるインタビューでトランプ氏は、減税、規制緩和、中国、連邦準備制度、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長など、主要なトピック全てについて語った。
  その中で、取材チームの誰もが驚き、少し困惑したのは、トランプ氏が第25代米大統領ウィリアム・マッキンリーについて熱心に語ったことだ。トランプ氏は促されることもなく2回マッキンリーに触れ、「最も過小評価されている大統領」で「この国を豊かにした人物」だと、長々と語った。
  もちろん、マッキンリーは熱心な保護主義者であり、平均輸入関税を当時の米国史上最高水準のほぼ50%にまで引き上げたマッキンリー関税法の立案者だった。 後になって振り返れば、トランプ氏が「関税王」とたたえるこの人物に傾倒していたことは、「解放の日」と銘打った4月2日に世界貿易戦争を仕掛ける予兆だった。

ブルームバーグ・ビジネスウィーク誌(2025年5月発行)
Illustration: Saratta Chuengsatiansup for Bloomberg Businessweek  トランプ大統領の相互関税は市場を混乱させ、S&P500種株価指数を弱気相場入りの寸前に追いやり、長期の米国債の利回りを急上昇させた。

  トランプ氏を支持していた人を含むウォール街の有力者は、驚きをもって反応した。ケン・グリフィン氏は関税を「大きな政策ミス」と呼んだ。ビル・アックマン氏は「経済における核戦争」を警告し、ジェイミー・ダイモン氏は「起こり得る結果」として不況を予測した。
  トランプ氏が米国の貿易相手国に対して仕掛けた攻撃は大規模で突然だったため、影響は非常に大きくなった。誰も、何が起こるのかを正確に把握できなかった。投資家がトランプ氏について知っていると思っていたこととは相反する行動だった。
  投資家は、トランプ氏は混乱を招き予測不可能ではあるが、最終的には株式市場が活況を呈し、それによって自身の承認欲求が満たされることを望むはずだと考えていた。トランプ氏が株式相場を本当に危うくするようなことは決してしないと思っていた。

  トランプ氏の最も親しい経済顧問でさえ、読み違えていた。ベッセント米財務長官は昨年、自身が経営していたヘッジファンド、キー・スクエア・グループの顧客宛てリポートで「全面的な関税を心配するのは愚かだ」とし、関税はインフレをもたらすため全面的な関税が導入される可能性は低いと説明していた。「関税の銃は常に装填(そうてん)され、テーブルの上に置かれているが、発射されることはほとんどない」と付け加えた。
  トランプ氏が9日に突然方向転換し、数日前に発表した相互関税のほとんどを一時停止したことは、貿易戦争による経済的な混乱をさらに激化させるだけだった。一部の措置を緩和する一方で他の措置を強化し、中国製品への関税を145%に引き上げた。トランプ氏の行動は、世界貿易と同盟関係を再構築する一方で、世界の準備通貨としてのドルの地位に疑問を投げかけることになるだろう。
関連記事:「マールアラーゴ合意」臆測、外国中銀の不安あおる恐れ-マクロ分析
  誰もがトランプ氏の真意を読み違えた今、次は何をしでかすのかという巨大な問題が残っている。トランプ氏自身にも分からない可能性は十分にある。しかし、昨年7月のインタビューを振り返ってみると、貿易やその他のあらゆる事柄について、筆者が当時評価していた以上に、トランプ氏が自身の思考プロセスを明らかにしたように思えてきた。
  インタビューの最中に、マールアラーゴの管理人であるベルント・レンブケ氏がたまたま通りかかった。トランプ氏はレンブケ氏を呼び止めた。レンブケ氏は誇らしげに、マールアラーゴのクラブの会員権は70万ドル(約1億円)だが「10月には100万ドルに値上がりする」と私たちに伝えた。マールアラーゴは一等地であり、会員候補者たちは入会を熱望しているので、値上げをするのは容易だ。

フロリダ州パームビーチにあるトランプ氏の「マールアラーゴ」リゾート
Photographer: Joe Raedle/Getty Images  関税導入の混乱の中、トランプ氏とその支持者らは、米国内の雇用を守り創出すること、製造業の国内回帰を促すこと、貿易赤字の解消、中国への制裁、恩知らずな同盟国から譲歩を引き出すことなど、トランプ氏の動機と目的について、矛盾するものも含めた一連の主張を展開した。
  しかし、トランプ氏の経済モデルの中心は「マールアラーゴ」流とでも呼べるものだ。
  かつてトランプ氏の最高戦略責任者を務め、同氏の理解者であるスティーブ・バノン氏は最近、次のように語った。「トランプ氏は、不動産開発業者の視点から米国を見ている。これが外国に高関税を課そうとする強力な衝動を説明する。トランプ氏が発信しているメッセージは、米市場は最高の不動産なのだから、その市場にアクセスするにはプレミアムを支払わなければならないというものだ」。

  つまり、米国はマールアラーゴのようなもの、他者が熱望して入ろうとする排他的な黄金郷だというのが、「トランプ氏の経済モデルの中心部分だ」。外国人は黄金の扉を通って入るためにプレミアムを支払わなければならない。トランプ氏にとっての関税は伝統的に考えられてきた関税とは異なる。米国の企業や個人から税負担を取り除くための新たな収益源だ」とバノン氏は説明した。
  歴代の大統領は、歴史に足跡を残すことを望む。2回も弾劾され、一度は大統領選に敗れたトランプ氏は、他の大統領よりもその思いが強いかもしれない。
  4月最初の週のトランプ氏の行動を見れば、関税が米国再生の原動力になるという信念が、大統領としての同氏を動かしていることは明らかだ。つまり、米市場参入のコストを積極的に引き上げることは、国家繁栄の未開拓の源泉であり、その手段を使わないのは間違いだと確信しているのだ。
  大統領というものは、自らの大きな構想を手放したくないと考えている。マッキンリーの関税は不評で、1890年の選挙で共和党は下院の議席を失った。しかし、関税が繁栄をもたらすというマッキンリーの信念が揺らぐことはなく、96年に大統領に選出されるとすぐに、より高い関税を課し、1901年に暗殺されるまで、さらなる関税引き上げの脅しを外国との交渉の切り札として用い続けた。
  トランプ氏もまた、本当に退いたわけではない。70カ国以上に対する関税の一時停止は、中国に課した、より大規模な関税に比べれば取るに足りない。中国との本格的な貿易戦争を開始したことに加え、一律10%の基本関税は依然として維持されており、鉄鋼や自動車に対するセクター別関税も課されている。
  一時停止を発表した際にトランプ氏は、投資家が「びくびく」し、債券市場が「不安」になっていることに不満を漏らし、自身の信念について考え直しているようには聞こえなかった。「まだ何も終わっていない」と挑戦的だった。
  いったん撤退を余儀なくされたかもしれないが、トランプ氏の戦略は全く変わっていない。マッキンリーと同じく、保護主義こそが米国のルネサンスの鍵だと今も信じている。
  トランプ氏が強硬な関税政策を押し進めれば、最終的にはどちらが正しいのかが明らかになるだろう。正しいのはトランプ氏なのか、それとも、同氏のやり方が世界貿易を縮小させ、インフレを再燃させ、米経済にダメージを与え、米国を以前よりも貧しく、弱く、孤立した国にしてしまうと警告するエコノミストやバンカー、投資家なのか。

(原文は「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」誌に掲載)
原題:
Mar-a-Lago Membership Fees Help Explain Trump’s Tariff Obsession(抜粋)
 

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[紹介元] ブルームバーグ マーケットニュース トランプ氏にとって米市場は私邸マールアラーゴ、参入には会費必要

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