日本国債の乱、歴史的なボラティリティーにおびえる世界の債券投資家
記事を要約すると以下のとおり。
かつては平穏だった日本の国債相場のボラティリティーが歴史的な上昇を見せ、世界の債券市場を揺さぶっている。 世界の債券は5月、米国の関税政策と政府債務の増加リスクが投資家心理を悪化させ、パフォーマンスは今年初めてマイナスとなった。 インベスコのアジア太平洋フィクストインカム部門責任者、フレディ・ウォン氏は「日本国債利回りの上昇は、世界的に著しい波及効果をもたらしている」と指摘。国内投資家が米国債利回りを押し上げる場面も見られ、「グローバル債券市場全体で相関関係と波及効果が表れていると言う。」 一連の動きは過去数年間とは全く対照的だ。 5月下旬に行われた20年債入札が不調だったことをきっかけに、日本の超長期債利回りが1年7カ月ぶりの水準に上昇した。 トランプ米大統領の減税法案で米財政赤字に対する懸念が強まる中、日本の金利ボラティリティーの上昇や経済統計がインフレの粘着性を示唆したことで米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測も後退し、世界的な利回りの上昇に拍車がかかった。 金利上昇圧力が強まる中、市場では財務省が超長期債の発行を減額し、代わりに短い年限の債券の発行を増やすのではという観測が広がっている。 金融政策の正常化を目指す日銀は、足元で国債買い入れの縮小を進めている。日銀の買い入れ縮小と保有債券の償還が重なり、四半期の減少幅としてはデータをさかのぼることができる1996年以降で最大となった。日本政府が今月発表した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の原案は、一段の金利上昇を抑制するため、国内投資家の国債保有を一層促す努力の必要性に言及した。パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO、ピムコ)は、最近の日本国債売りは構造的な需給の不均衡に起因し、政策当局は対処可能だと指摘。 とはいえ、市場関係者は今後数カ月の展望を複雑にしかねない複数のリスクには引き続き注意を払う必要がある。 三菱UFJアセットマネジメントの徳岡祥一チーフファンドマネジャー兼チーフエコノミストは、「30年債利回りが3.2%でピークを付けるという根拠はないと述べ、「インフレが定着しつつある中、利回りがさらに上昇する可能性もあると警戒している。」
[紹介元] ブルームバーグ マーケットニュース 日本国債の乱、歴史的なボラティリティーにおびえる世界の債券投資家