
昨日の米国経済ニュースから注目すべき5つのトピックをまとめました。トランプ政権による新たな関税と支出方針、テスラ株の動向と中国BYDの急成長、半導体とAI関連銘柄の最新トレンド、建設・インフラ分野への政策インパクト、そして米中貿易環境の変化が市場を大きく揺らしています。ここ数日の動きを定量データも交えながら、深掘りして解説します。
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2025/07/06 トランプ政権の新関税と政策転換、株高継続
連休明けの週、ドナルド・トランプ大統領は12カ国に対し新たな関税の通知を行うと発表しました。実際の発動は8月1日が鍵となります。米欧、日韓、インドなど主要貿易相手国は、関税回避のため米国との合意を模索中です。米株市場はこうした通商動向を横目にしつつも、S&P500とナスダックは共に最高値を続伸し、ダウも史上最高値に迫る勢いを見せています。米雇用統計やベトナムとの貿易協定も追い風となり、ダウ平均が前週比2.3%上昇するなど、主要指数が揃ってプラスとなりました(出典:Dow Jones Futures: New Trump Tariffs Coming, But Here's The Real Deadline; Tesla's Musk Forms Political Party)
2025/07/06 テスラとBYDの競争激化、EV市場の構造変化
米テスラ(TSLA)と中国BYDのEV販売競争は新たなステージに突入しています。2025年第2四半期、BYDのEV販売はテスラの約3倍に達し、特にBEV(純電気自動車)で圧倒的なリードを広げています。テスラはブランドイメージやラインナップの高齢化、主要な米EV税制優遇打ち切りという逆風に直面。CEOイーロン・マスク氏はロボタクシーやAI分野へ軸足を移しつつ、新党「アメリカ・パーティ」立ち上げも発表するなど、政治と事業の両面で大きな変化を見せています。今後はモデルY需要の一時的な押し上げが予想される一方、中長期的な競争力の確保が課題となります(出典:Tesla Vs. BYD: Tesla Loses Tax Credits Amid Robotaxi Push, Musk Plans America Party; BYD's BEV Sales Boom)
2025/07/02 政府支出政策の構造転換―インフラ、半導体、再生エネの新旧格差
バイデン政権期の巨額インフラ・半導体支援策(CHIPS Act/IIJA)は、トランプ新政権下でも概ね継続されています。一方、再生可能エネルギー分野(IRA)は予算執行凍結や大幅見直しが発表され、ソーラーやバッテリーなどの新規工場も相次いでキャンセル。従来の道路や下水など公共投資は堅調な一方、チップ製造支援は「輸入品への関税強化、米国内新工場立地優遇」に軸足がシフトしています。各銘柄の実績では、マーティン・マリエッタやヴァルカン・マテリアルズなど建設関連の株価が堅調推移。半導体ではTSMCやマイクロンなどの米国内大規模投資が評価されるようになりました(出典:Trump's Spending Plans Target Huge Programs That Favored U.S. Industries. The Upshot For Chip Stocks, Energy And Construction.)
2025/07/03 AI・半導体業界―Nvidia最高値更新と米中規制緩和の波紋
AI半導体リーダーのNvidia(NVDA)は、米中貿易摩擦にも関わらず株価が最高値を記録。米国政府は6月末、CADベンダー大手CadenceとSynopsysによる中国向けEDA(電子設計自動化)ソフト輸出規制を早期解除しました。これにより、半導体設計産業全体が「1カ月程度の影響にとどまる」と見られ、両社株価はそれぞれ5.1%・4.9%と急伸。Nvidiaの「Rubin」など次世代AIサーバ需要期待や、Google・Amazonなど米大手IT企業のAI投資も巨額に上ります。投資家動向・指標も引き続き強気が続きそうです(出典:Nvidia At New High: Is A China Chip-Ban Lift In Sight? Is Nvidia A Buy Or Sell Now?/Cadence, Synopsys Jump After China Export Curbs Lifted)
2025/07/03 米中摩擦の緩和兆候と資源戦略、中国レアアース輸出許可の影響
今回のEDAソフト規制解除の背景には、米中双方の利害調整があります。中国は対米譲歩としてレアアース資源の輸出許可プロセスを加速させ、米国はソフトウェア規制の一時巻き戻しに応じました。この“限定的デタント”により、両国の製造業やハイテク関連株へ一時的な息吹が入りました。本格的な構造競争は続くものの、資源と先端技術分野での摩擦緩和が市場全体へ与える安心感も一定程度広がっています。今後も両国の「経済安全保障」と「産業競争力強化」のせめぎ合いが続く見込みです(出典:Cadence, Synopsys Jump After China Export Curbs Lifted)