コロラド州のオフィスタワーを担保とする2億7700万ドル(約410億円)相当の商業用不動産担保証券(CMBS)で、最も安全とされていた部分に投資していた投資家が、大幅な損失を被る可能性に直面している。このビルの評価額が以前の水準から大きく下落し、利払いも減額されたためだ。
このCMBSは、デンバー中心部にある52階建てのウェルズ・ファーゴ・センター向けの不動産ローンを裏付けとしている。7月の報告書によれば、築40年以上のこの建物の評価額は最近1億1500万ドルと再査定され、2019年に証券が発行された当時の水準から76%の下落となった。
デンバーのウェルズ・ファーゴ・センター(2012)年
Photographer: Matthew Staver/Bloomberg 評価減額(ARA)と呼ばれる指標に基づけば、かつて最上位格付け(AAA)を付与されていたトランシェですら、既に含み損を抱えている状態で、格付けが低い債券の保有者は、ビルが売却されれば投資した全額を失う可能性が高い。報告書によると、こうした状況を受け、サービサー会社は最上位トランシェ保有者への利払いを初めて削減した。
米国の老朽化したオフィスタワーの多くにとって、テナントを呼び戻す時間は限られているという現実が改めて鮮明になる。こうしたビルのモーゲージローンだけを担保にしたCMBSを保有する投資家は、最終的に痛手を被る見込みだ。
証券当局への提出資料によれば、ウェルズ・ファーゴ・センターを担保とするこの証券の最近の四半期における主な保有者には、
フィデリティ・インベストメンツ、パシフィック・インベストメント・マネジメント(
PIMCO)、および保険会社の
ウエスタン・アンド・サザン・ファイナンシャル・グループが含まれていた。
ビーチ・ポイント・キャピタル・マネジメントの仕組みクレジット責任者、ベン・ハンセーカー氏は「最も状態の悪いビルに関しては、特別サービサーや債券保有者が取り得る現実的な選択肢はほとんどなく、最終的な結末に向けた動きがより早まる」と語った。
デンバーのビルに関しては、20年にファンドを通じて持ち分を取得した
ブルックフィールドが23年に同物件から手を引きローンで債務不履行(デフォルト)を起こした。同社は発表資料で「当該資産は2年前に償却し管財人に移管している。当社の世界的な不動産事業全体には影響を及ぼさない」と説明した。
ピムコおよびフィデリティの広報担当者はコメントを控えた。ウエスタン・アンド・サザン・ファイナンシャルの広報担当者は電子メールで、当該証券は5月に売却済みだたと回答した。
デンバーのリンカーン通り1700番地に位置するウェルズ・ファーゴ・センターは1983年に建設され、2012年に
ビーコン・キャピタル・パートナーズが約4億ドルで取得した。19年にローンが借り換えられ、単一の建物に対する1件のローンを担保とした「SASB(Single-Asset Single-Borrower)」として証券化された。
ムーディーズ・レーティングスによれば当時のビルの入居率は約87%だったが、
CBREグループによると、今年4-6月(第2四半期)時点でデンバー都市圏のオフィス空室率は27%を超えていた。
ビルの苦境と歩調を合わせるように、関連するCMBSも厳しい状況に陥っている。
かつてムーディーズから最上位格付けである「Aaa」を付与されていた1億2300万ドル相当の最上位トランシェは既に格付けが11段階引き下げられ「Ba2」となっている。投資適格級を2段階下回る水準で、ブルームバーグの価格情報によれば現在の市場価格は額面1ドル当たり約82セント。
最上位のCMBS保有者に対する利払いの一部が先月、初めて停止された。債券関連書類によれば、投資家全体で未払い利息は約490万ドルに上る。
CMBSの未償還残高が再評価後の不動産価値をどの程度上回っているかを示す指標ARAに基づくと、かつてのAaaトランシェでは約2200万ドル、割合にして18%の損失が見込まれる。
原題:
AAA Bonds Are Underwater in CMBS Tied to Denver Office Tower(抜粋)





