アポロ・グローバル・マネジメントなどプライベート資本の大手企業は、規制下にある保険会社の資金から最大のリターンを引き出すため、前例のない手法を採用している。
ルクセンブルクを本拠とする小規模金融会社、アドバンスト・クレジット・ソリューションズ(ACS)は保険会社との取引を主な業務としているが、事情に詳しい関係者によれば、その実体はアポロのために組成された約50億ドル(約7400億円)規模のファンド、フォックス・ヘッジの頭脳だ。
近年、アポロをはじめとするプライベートエクイティー(PE)系の企業は、生命保険や年金分野の企業買収を積極的に進め、巨額の資金を手中に収めている。
しかし、その資金をリスクの高いプライベートクレジットなどに投じようとすれば、保険会社には多額の自己資本が必要になるという規制による制約が立ちはだかる。一方、安全資産である米国債やモーゲージ債では魅力的なリターンは得にくい。
こうした中、保険業界は好調なプライベート市場の波に乗り遅れまいと必死だ。
そこで、アポロはACSと協力し、自社ファンドが保有する多様な資産を、バミューダに設立した投資ビークルであるフォックス・ヘッジにまとめ、このビークルを担保に満期までが長く格付けの高い債券を発行した。
この仕組みにより、保険会社は実際にプライベートクレジットに投資した場合よりも大幅に少ない自己資本で、同様のリターンを得られるという。最終満期は40年と極めて長期で、長期ライアビリティーを抱える保険会社のニーズに合致する。
アポロにとっては、買い手を探す手間はない。債券の約86%は、傘下の保険会社アテネが購入していると、ムーディーズが昨年12月時点に推計している。
Athene at the New York Stock Exchange.
Photographer: Michael Nagle/Bloomberg この取引は、規制当局や格付け会社が現在注視している二つの懸念の核心に関わっている。
一つは、保険会社がより高リスク・高収益のクレジット投資に傾いていること。もう一つは、保険業界の多くがプライベート資本企業の手に渡っているという事実だ。プライベート資本の世界は、高リスク・高リターンの戦略に寛容であることで知られている。
フォックス・ヘッジに詳しい関係者によれば、これほど多様な資産を一つのビークルにまとめる手法は斬新だという。
担保の多様性によってキャッシュフローの安定性が高まることや、ローン担保証券(CLO)よりも格付けの高い個別資産が含まれていることから、相対的に安全性が高い可能性も指摘されている。
一方、フォックス・ヘッジの債券の満期は裏付けとなる資産の多くよりもはるかに長いため、今後それらを順次入れ替える必要がある。投資家は将来のリターンを期待しているが、それがどこから生まれるのかは見通せていない。
アポロとアテネの広報担当者はコメントを控えた。ACSからの回答も得られていない。
保険会社には、プライベートクレジットの隆盛に取り残されるわけにはいかないとの共通認識がある。一方、複雑な投資手法には懸念の声もある。
米連邦準備制度理事会(FRB)は、格付け手法や会計基準の隙間を突く形で、保険会社のポートフォリオがリスクの高い社債へと傾斜していることに警鐘を鳴らした。
ムーディーズの見積もりによれば、米国の生命保険会社が保有する総額約6兆ドルの資産のうち、約3分の1が既に何らかの形でプライベートクレジットに投じられており、その割合は上昇中だ。
プライベート市場に共通する問題として、取引頻度が少ない資産の評価の難しさがある。そうした資産を束ねることで、さらに透明性が損なわれている可能性がある。
ハーバード・ビジネス・スクールのケネス・フルート名誉教授は「透明性が高くても流動性が不安定な資産は、実際の価格を正確に把握するのが難しい。不透明で複雑かつ満期までが長い非流動性資産となれば、正確な評価はさらに困難になる」と指摘した。
原題:
Apollo’s Fox Hedge Is Taking Financial Wizardry to a New Level (1)(抜粋)







