猫をないがしろにしてはならない。米消費財メーカーの
クロロックスの実感だ。
同社では猫と買い主の間で人気の猫砂「フレッシュステップ」が、昨年のハッキング被害で一時生産を停止し、全米の小売店で品薄となった。そのために猫たちは無理に新しい習慣を受け入れるしかなかった。その一部はもうフレッシュステップに戻ってこないことを、クロロックスは理解している。
その一匹、オーティス(4)は昨年、フレッシュステップの代わりに買い主が用意した別のブランドが気に入らなかった。そこでオーティスは家の外で用を足すことを覚えた。買い主のチェビー・ウルフさんは、もう前のやり方に戻るつもりはない。猫砂を取り除く作業は頻繁にしなくてもよくなったし、お金も節約できるのはありがたかった。
猫砂はクロロックスにとって最も難しいカテゴリーであり、業績が昨年の生産停止から完全に回復するのは長い先になりそうだ。フレッシュステップや「スクープアウェイ」など同社の猫砂売上高は6月30日までの1年に約4%減少し、およそ6億3800万ドル(約900億円)にとどまった。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期に同社の業績は力強く成長しただけに、落胆が広がった。競合相手の
チャーチ・アンド・ドワイトでは、一部のブランドが市場シェアを拡大した。クロロックスの株価は2023年8月にハッキング被害を公表して以降、S&P500種株価指数を下回るパフォーマンスに甘んじている。株価は12日終値の時点で当時から3%高。S&P500種株価指数の25%高を大きく下回る。
「猫は変化を嫌うものだ」と、猫のための非営利保護施設「キャット・ビヘイビアー・アライアンス」の共同創設者、リンダ・ホール氏は指摘する。「猫の気持ちにゆっくりと働きかけ、これが望むものだと納得させることが成功の秘訣(ひけつ)だ」と語った。
それこそクロロックスが立てた計画だ。同社はえり好みする猫と買い主を標的にカムバックキャンペーンを開始する。新しい猫砂やペット商品を開発し、広告を強化、昔からの得意客にアピールするつもりだ。サブスクリプション(定期購入)先を他社ブランドに変更したオンラインの顧客には、ディスカウントを提示して自社ブランドを売り込んでいる。
ストレス源
「小売店での買い物客とオンラインのサブスク顧客の両方に、懸命に働きかけているところだ」と、クロロックスのバイスプレジデント兼猫砂担当ゼネラルマネジャー、アナ・マリア・バスケツガリアノ氏は電子メールで述べた。「時間がかかることは分かっている」と続けた。
飼い主が猫砂のブランド変更をためらうのは、突然の変化に猫がネガティブに反応することが多いからだ。ストレスをため込む猫もいれば、トイレではない場所で用を足してしまう猫もいる。
クロロックスのリンダ・レンドル最高経営責任者(CEO)は、先週行われた会議で猫砂変更に伴う困難を認め、飼い主にとって「ストレス源」になっていると述べた。その上でフレッシュステップを「また使ってくださいとお願いしている」と発言。「違うブランドの漂白剤やお掃除クリーナーを使ってほしいと言うのとはちょっと訳が違う」と話した。
原題:
Cats Are Refusing to Go Back to Clorox Litter, Roiling Its Sales(抜粋)





