香港当局が香港ドルと米ドルのペッグ(連動)制を守るため域内の金利上昇を演出したことで、今年これまで極めて有利とされてきたキャリートレード戦略が崩れ始めている。
香港ドルの1カ月物香港銀行間取引金利(HIBOR)が跳ね上がり、香港ドルを低い金利で借りて、金利の高い米ドルに投資するこの戦略は妙味が薄れた。
バークレイズ銀行の19日付のストラテジストリポートによると、市場の動きと香港金融管理局(HKMA、中央銀行)の介入を受け、ヘッジファンドが保有する香港ドルに対する米ドルのロングポジション420億米ドル(約6兆2300億円)のうち約30%が解消された。
米ドルの一段安と香港株式市場への資金流入が続けば、この流れがさらに加速する可能性があるという。
香港ドルは最近まで米ドルに対する許容変動幅(1米ドル=7.75-7.85香港ドル)の下限近辺を試す展開が続いていた。香港での資金調達コスト急上昇は、HKMAが流動性を絞ることで香港ドルの防衛を図ったためだ。一方、香港株への力強い資金流入と融資需要の回復傾向により、当面は香港の金利が高止まりする公算が大きい。
オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)のアジア調査責任者クーン・ゴー氏は、「香港ドルを調達通貨に使ったキャリートレードはうまくいっていた時期もあったが、今はもう終わりだ」と述べた。「資金調達手段としての魅力は失われており、香港ドルは今後しばらく許容変動幅の中間付近で推移する」との予想を示した。
HKMAは6月後半以降、10回以上にわたって流動性の吸収を実施し、それにより銀行間市場の流動性規模を示す指標は過去2カ月で約70%低下した。
わずか数カ月前の状況から大きな転換だ。当時は米国と香港の金利差が過去最大となり、キャリートレードへの関心が高まっていた。皮肉にも、その際にHIBORが大きく低下したのは、米ドル安により香港ドルが許容変動幅の上限を超えないようHKMAが市場に資金を供給したためだった。
原題:
Hong Kong Dollar Carry Trade Is ‘Over’ on Soaring Funding Costs(抜粋)







