隔週金曜日の午後3時、ある人気商品が発売されるとわずか数分で売り切れる。新作スニーカーでも人気キャラクター「ラブブ」でもない。バターだ。
バーモント州の小規模乳製品メーカー、アニマルファーム・クリーマリー製のバターは、販売店サクセルビー・チーズモンガーズでは約450グラム当たり60ドル(約8900円)で売られている。一般的なバターの約14倍の値段だ。
米国では今、濃厚な風味と滑らかな食感の高脂肪バターに進んで高額を払う消費者が増えている。食料品価格は過去5年で約25%上昇したが、経済的に余裕のある層は「ちょっとした贅沢」に出費を惜しまない。
アニマルファーム・クリーマリー製のバター
Source: Corey Hendrickson 市場調査会社ニールセンIQによると、過去1年で高級バターの販売は2桁の伸びを示し、1.1%増にとどまった一般的なバターを大きく上回った。
コーヒーやピーナツバターなどでは安価なプライベートブランド(PB)への切り替えが広がる一方、バターは例外だ。「一度良質なバターを口にするともう戻れない」と、カリフォルニア州南部で乳製品専門店を2店舗経営するリディア・クラーク氏は語る。
新型コロナ禍での巣ごもり需要もバター人気を押し上げた
Photographer: Tonje Thilesen/Bloomberg 米国のバターファンは従来から欧州旅行で高脂肪バターを体験し、帰国前に買い込むのを定番としてきた。高級バター人気が一気に拡大したのは、新型コロナのパンデミック期に家庭での料理や製菓の需要が膨らんだことも背景にある。
こうした流れは「バターボード」と呼ばれるSNS発の流行につながった。柔らかくしたバターを花やハーブ、果物で彩り、カッティングボードに広げてパンや野菜とともに供するスタイルで、バターを主役級の存在へと押し上げた。
幅広い輸入品に対するトランプ関税が、米国内のバター生産者にとって追い風となる可能性もある。
高脂肪バターを複数展開するカリフォルニア・デイリーズのマイケル・バーデニー最高商務責任者(CCO)は「顧客の関心が一段と高まっている。国内の供給源を求める声が強い」と話す。
アニマルファーム・クリーマリーのバーモント州の牧場
Source:Corey Hendrickson 最上級のバターには牧草飼育牛のミルクを使ったものや脂肪分の高いタイプが多い。欧州の規格では脂肪分82%以上のバターが一般的で、米国の最低基準である80%を上回る。高級品はこうした基準を踏まえつつ、より濃厚な味わいを打ち出している。
高級バター需要の高まりを受け、米スーパー各社は取り扱い量を増やし、売り場でも目立つ場所に陳列し始めている。
「熱心な愛好者が次々と生まれている」と語るのは、クローガー傘下のスーパーチェーンで食品イノベーションを統括するゲーリー・ジッケル氏。「米国のバターの水準は格段に上がった」 と自信をのぞかせた。
原題:
Fancy, Fattier $60-a-Pound Butter Is the Latest Must-Have Luxury(抜粋)






