
昨日までの米国経済ニュースでは、FRBの利下げ予想が変化する中、市場参加者の注目が金利政策や地政学リスク、主要企業の業績動向に集まっています。米連邦準備制度理事会(FRB)の政策決定、原油価格と株式市場の動き、トランプ前大統領のイラン政策を巡る発言、再生可能エネルギー業界への影響、テスラなど成長株の注目ポイントなど、多角的に動いた1週間でした。ここではデータや各種指標を引用しつつ、重要度の高いトピックについて振り返ります。
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2025/06/18 FRBの利下げ見通しが大きく後退
米連邦準備理事会(FRB)は6月会合で、2025年の利下げ回数見通しを“この1年で1回のみ”とするタカ派的なスタンスに転換しました。これは3月時点での2回から減少したもので、政策委員全体での見解が引き締め気味になってきています(Deutsche Bankの予想も引用)。背景としては、原油価格の高騰や中東の地政学リスク(イスラエル・イラン間の緊張)がインフレ懸念を強めているためです。一方、過度なタカ派転換が株価に大きなショックを与えることはないという見方も示されています。(出典:「Fed Meeting: Hawkish Shift Likely Amid This New Concern」)
2025/06/18 株式市場と債券市場の反応、および経済指標
FRBの政策決定を受けて、株式市場は一旦調整しました。S&P500は取引日に0.8%下落し、一時は過去最高値から2.6%安、ダウ平均は200日移動平均線を下回る水準に推移。10年債利回りは4.37%へ低下しました。直近の雇用統計では非農業部門の雇用が13.9万件増という結果ですが、3月・4月分が下方修正されるなど、労働市場の勢いに陰りもあります。今後の政策展開は「賃金インフレと失業のバランス」に焦点が絞られます。(出典:「Fed Meeting: Hawkish Shift Likely Amid This New Concern」)
2025/06/18 米中貿易・トランプ政権の通商政策リスク
FRBのタカ派姿勢には、米国の対中関税政策や共和党の大型財政パッケージ案といった不確定要素も影響を与えています。トランプ前大統領が“リベレーション・デー関税”を発表後、中国以外の諸外国向け関税を一時停止しましたが、今後の再強化懸念やインフレリスクが引き続き市場心理に作用しています。また、トランプ氏はイラン政策でも強硬姿勢を見せ、「米国が空域をコントロールしている」とコメントし、状況次第で追加的な軍事的対応の可能性にも言及しています。(出典:「Dow Jones Futures Rise Ahead Of Fed Chief Powell; Trump Mulls Iran Decision」)
2025/06/18 エネルギー価格と再生可能エネルギー企業への波及
地政学的緊張によって原油価格は6月入り以降23.1%上昇、6月第3週は1バレル74.84ドルとなりました。これを受け、米株式市場ではエネルギー株ETF(XLE)が堅調な一方、再生可能エネルギー関連株が大幅安に。特に上院での予算法案審議により、2028年をもって太陽光・風力発電への税制優遇が縮小される見通しとなり、Sunrun(-40%)、SolarEdge(-33.4%)、FirstSolar(-17.9%)が急落しました。市場が政策リスクを織り込み始めている様相です。(出典:「Dow Jones Futures Rise Ahead Of Fed Chief Powell; Trump Mulls Iran Decision」)
2025/06/18 テスラなど主要企業動向と投資家の対応
テスラ株は第2四半期の中国販売減速や生産調整報道を受けて3.9%安。アメリカのEV税額控除の縮小も重石となっています。今後のロボタクシー投入など期待材料はあるものの、四半期販売台数は前年同期比21%減のペースとの予測も(Wells Fargo調べ)。市場環境は不透明ですが、“悪材料にもかかわらず全面的な売りには発展せず、成長銘柄への選別投資は続いている”のが現在の印象です。変動性・地政学リスクに備え、バランス重視のスタンスが求められる局面です。(出典:「Dow Jones Futures Rise Ahead Of Fed Chief Powell; Trump Mulls Iran Decision」)