9日に実施された5年利付国債入札は、応札倍率が過去1年平均と同じとなり、市場からは「無難」との評価が聞かれた。高市早苗氏の自民党総裁就任を受けた利上げ観測の後退が支えとなる半面、円安進行で再び利上げ観測が高まるリスクも意識され、中期債への需要が本格的に戻ったとは言い難い結果となった。
財務省が9日に実施した5年利付国債入札は、投資家需要の強弱を反映する応札倍率が3.69倍と過去12カ月の平均と同じで、前回(3.7倍)ともほぼ同水準だった。最低落札価格は100円25銭と市場予想(100円30銭)を下回った。大きいと不調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は6銭と前回(3銭)を上回った。
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SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストは「事前の見方が大きく割れていたことを考えると、おおむね無難な結果と言ってよい」と語る。利回りが高く投資家は買える水準と判断したのだろうと述べた。
ただ、高市総裁の下で自民党が積極財政を志向する国民民主党と連立を組む可能性があることや、外国為替市場で円安が進んでいることを考えると「引き続き金利上昇のリスクには注意が必要だ」と言う。
財政拡張への警戒感から超長期債を中心に金利上昇圧力が強まっている。新発30年債利回りは7日に一時3.345%と過去最高を更新。同日行われた30年債入札を波乱なく通過したことで金利上昇は一服したが、先高観は和らいでいない。
高市氏が緩和的な金融政策を志向するとの思惑で、スワップ市場が織り込む日本銀行の今月の利上げ確率は自民党総裁選前の5割強から2割台半ばに低下した。利上げ観測の後退は通常、年限の短い金利の低下要因になるが、円安を背景としたインフレ加速への警戒から中長期金利にも上昇圧力が波及している。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは5年債入札について、最低落札価格が予想を下回り、応札倍率やテールも最近の入札と比べると良くなく、「無難からやや弱め」と指摘する。円安進行による利上げ観測に加え、政局不安による財政拡張懸念も根強く、「利回り曲線の手前と後ろから上昇圧力がかかりそうだ」とみている。
三菱UFJアセットマネジメントの小口正之エグゼクティブ・ファンドマネジャーも「入札はすごく悪くはなかったが、強くもなかった」と話す。市場は12月や来年1月の利上げを相応に織り込んでおり、利上げ到達点の予想も変わっていないと指摘。「足元の円安とインフレを見ると、いつまでも利上げを先送りできないだろう」と語った。
— 取材協力 Hidenori Yamanaka
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