欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのナーゲル・ドイツ連邦銀行総裁は、世界経済のさらなる分断化の脅威を指摘し、それがインフレ率の上昇や物価の不安定化という新たな課題をもたらす可能性があると述べた。
「地経学的分断化の兆候がますます明らかになってきており、残念ながら、重大なエスカレートの瀬戸際に立たされている可能性もある」と、ナーゲル氏は東京で語った。「これは憂慮すべき展開であり、われわれは皆、協力と自由貿易の回復に努めるべきだ」と続けた。
国際的な緊張が高まれば、インフレ圧力が増大したり、消費者物価上昇率の変動が大きくなる可能性があり、中銀は金利引き上げで対応せざるを得なくなるだろうとナーゲル氏は述べた。「物価安定を維持するために必要なことは何でも行えるし、行うつもりだ」と語った。
ナーゲル氏は、ドナルド・トランプ氏の米大統領再選は保護主義の時代の到来を意味し、世界経済の秩序を分断する恐れがあると繰り返し警告してきた。
共和党のトランプ氏は、中国に対しては60%、その他の国々に対しては最大20%の関税を課すことを公約しており、本格的な貿易戦争の勃発(ぼっぱつ)が懸念される。
Euro-Area's US Trade Has Grown Since Trump's First Term
Source: Eurostat
デギンドスECB副総裁も今月、トランプ氏がホワイトハウスに復帰することにより、世界経済は生産の低迷、物価上昇圧力の強まり、確立された貿易の流れの混乱など、潜在的に有害なショックに直面する可能性があると警告した。
デギンドス氏は18日にもその見解を繰り返し、フランクフルトでの会議で「貿易摩擦はさらに激化し、テールイベントのリスクが高まる可能性がある」と語った。
ECB副総裁、高債務によるリスク警告-長期的な課題克服の妨げに
ナーゲル氏は「地政学的な分断化が著しく進み、インフレ圧力が高まったとしても、中銀にはこのような状況に対処するのに必要な手段はすべてそろっている」と述べた。
また、ECBは「世界的な統合が著しく弱まれば、インフレを抑えるために金利をより高く設定しなければならなくなる」と警告した。
ナーゲル氏は同時に、分断化の物価への影響はそれほど深刻ではないだろうと楽観的な見方を示し、「影響の方向性についてはかなり確信を持てるが、その規模は軽微だと思われる」と語った。
原題:
ECB’s Nagel Warns Economic Fragmentation Risk Is Escalating (1)(抜粋)



