ウォール街を取り締まるトップ検察官が、プライベート市場の資産評価について警鐘を鳴らした。
運用会社が自社ポートフォリオのプライベート資産を評価する際、その算定方法に大きなばらつきがあることが、市場関係者や学者の間で問題視されている。今では米司法省も注目していると、元米証券取引委員会(SEC)委員長で現在ニューヨーク州南部地区連邦検事局のトップを務めるジェイ・クレイトン氏が述べた。
クレイトン氏はインタビューで「プライベート市場には私が懸念している分野が確かに幾つかある」と述べた上で、「金融規制当局と財務省がそれらを注視していることを人々は知っておくべきだ」と語った。
ジェイ・クレイトン氏
Photographer: Jeenah Moon/Bloomberg プライベートエクイティー投資会社が投資先企業を保有する期間が長くなるに伴い、評価額を巡る監視の目が強まった。
プライベートクレジットでも、各ファンドが保有資産を評価する手法にばらつきがあることへの懸念が高まっている。最近の学術論文は、そうした数字の主観性を皮肉り「mark to market(時価評価)」ならぬ「
mark to myth(神話評価)」だと表現した。
クレイトン氏は、運用会社が自社に有利な高い手数料を得るために恣意(しい)的な価格をつまみ食いする行為は看過しないと述べた。
人々は、流動性を提供する場面や資産価値ベースの手数料が発生する場面で、プライベート資産の評価が妥当なものかどうかを知りたいだろうと同氏は語った。「われわれはプライベート市場の分野で、さらに取り組むべきことがあるとみている」と続けた。
当局が問題視し得る領域の一つが、ファンドがプライベート資産を別のポートフォリオ、例えば継続ファンドに移す際の評価方法だ。継続ファンドは、資産の売却が難しい局面でも既存投資家が持ち分を換金できる手段として急速に普及している。
だが、こうした資産の移し替えは悪用されやすいとクレイトン氏は言う。取引のない資産が旧ファンドから継続ファンドへ移される時の評価は注意すべき領域だと同氏は指摘。「資産をファンドAからファンドBに移す際、社内でその価格を決められるなら、投資家より自社に有利な価格を運用会社が選ぶ余地はかなり大きい」と指摘した。
最近のプライベートクレジット市場のストレスを受け、投資会社が保有資産の評価額を引き下げる速度や幅にばらつきが出ていることに注目が集まっている。ジョンズ・ホプキンズ大学とカリフォルニア大学アーバイン校の研究者らは、プライベートファンドマネジャーが保有債権の全額回収可能性を過大評価しているのではないかと問題提起する研究を公表している。
原題:
Private Credit’s Sketchy Marks Get Warning Shot From Top DOJ Cop(抜粋)





