西側諸国がレアアース(希土類)の加工能力を十分に整備し、中国への依存から脱却するには何年もかかるだろうと、業界ベテランのマーク・スミス氏が述べた。
中国は2023年以降、一部重要鉱物の輸出を制限しており、今年4月には米国の関税政策に対応して7種類のレアアースの販売をさらに引き締めた。主要な買い手は不意を突かれる形となった。こうした事態を受け、トランプ米政権は戦略的と見なされるレアアース採掘プロジェクトに優先的な資金供給を行っている。
スミス氏は「これは明確な警鐘だ。残念ながら、われわれはこれまで警鐘に耳を傾けていなかった」と先週のインタビューで語った。レアアース供給能力を「ゼロ」以上に引き上げなければならないと強調した。
マーク・スミス氏(2010年)
Photographer: Jacob Kepler/Bloomberg 中国が2010年に、外交的な対立を背景に日本へのレアアース輸出を一時停止した際、米国内唯一のレアアース鉱山であるモリコープの最高経営責任者(CEO)を務めていたスミス氏は価格急騰の中、鉱山から磁石までの一貫供給体制構築を目指した。
しかしこの計画は、中国の輸出再開による価格下落などの影響で頓挫し、スミス氏は12年に退任。モリコープは債務負担や中国勢との厳しい競争により、15年に破産申請した。
「モリコープはより多くの支援を必要としていたが、当時の政府からはそれが得られなかった」とスミス氏は述べた。
現在、スミス氏はニオコープ・デベロップメンツのCEOを務めており、モリコープでの元同僚らと共に、ネブラスカ州で新たな鉱山開発を進めている。この鉱山では、テルビウムやジスプロシウムといった、今年中国が管理を始めたレアアースを副産物として生産する可能性がある。また、比較的豊富なスカンジウムのほか、ニオブやチタンといった希少金属も抽出される予定だ。
同社は既に全ての環境許可を取得済みで、米国防総省からの補助金のほか、米国輸出入銀行および英国・ドイツの同様の機関からの融資の申請も行っているという。スミス氏によれば、今年中にも鉱山建設を開始するが、完成には3年を要する見込み。生産開始は早くて2029年だという。
スミス氏は、前回の危機を教訓とすべきだと主張する。日本は中国への依存低化を図り、政府資金で豪州の
ライナス・レア・アースの鉱山に投資し、備蓄も行った。
一方、米国では企業や政府が当初こそ国内供給体制の整備に動いたものの、その後の価格下落で方針転換を余儀なくされた。現在はその過ちを正す動きが進んでいる。
「首都ワシントンに行くたびに耳にするのは、戦略的に重要な鉱物、特に重希土類の話だ。それが今この国の最優先課題なのだ」とスミス氏は話す。
モリコープの後継企業である
MPマテリアルズは、磁石に使用されるネオジムとプラセオジムを生産している。しかし、磁石が高温下でも性能を維持するために不可欠なテルビウム、ジスプロシウム、サマリウムについては、依然として中国以外で大量生産できる企業は存在しない。
「米国にも資源はある。豪州にも、カナダにもある。われわれが開発すべきはそうした資源だ。この問題に対処するには、必要な施設を国内で建設し始める必要がある」が、それは「長く、困難なプロセスになるだろう」と同氏は述べた。
原題:
Rare Earth Boss Sees ‘Long, Hard Process’ to Loosen China’s Grip(抜粋)






