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熱波の死者50万人時代、人体の限界探る研究者-室温40度で自ら実験台

記事を要約すると以下のとおり。

カナダの研究者グレン・ケニー氏(61)はこの夏、室温を40度に設定したオタワ大学の実験室に3日間こもった。
しかし、2日目までに深部体温は一時40度近くまで上昇し危険レベルに近づいた。
 「熱ストレスは新しい問題ではない。」
世界中の科学者が同様に取り組みに成果を活用している。
その数は、気温上昇が労働者の作業を鈍化させたり勤務に混乱を与えたりするとし、それによる年間コストが30年までに2兆4000億ドル(約353兆円)に達すると予想した。
1995年の2800億ドルから大幅な拡大だ。
 早稲田大学の細川由梨准教授は熱ストレスへの免疫を持つ人は皆無だとし、脅威は高まっていると話す。
室内温度を26度以下に保つべきだとする同国の公衆衛生上の指針を検証する目的で、38人が交代で参加した。
ケニー氏の研究室が取り組んでいるのは、その原因を解明して対策を練ることだ。
 ある実験では、55-73歳までの30人に室温44度・湿度30%の環境で3時間過ごしてもらった。
熱中症は脳や心臓などの臓器にダメージを与えかねず、死の危険もある。
 心拍数と血圧を図るセンサーを指先に装着されたスペンサー氏は高温にさらされた後、あおむけの状態から素早く立ち上がるよう指示されたという。
 ケニー氏は指摘。
労働者一人一人の耐性に基づいて安全計画を立てるべきだという。
 同社のジェーソン・リー最高経営責任者(CEO)によると、従業員の生体情報監視まで踏み込みたい企業もある。
 バングラデシュの工場を再現  さらにオーストラリアのシドニー大学では、オリー・ジェイ氏が別の研究に取り組んでいる。
モデルになるのは首都ダッカで2000人超が働く3階建ての工場だ。
非営利団体クライメート・ライツ・インターナショナルが7月発表の報告書向けに実施した聞き取り調査によると、猛暑の中で労働者は日常的に倒れ、作業の完了にはるかに長い時間がかかることがあるという。
 室温40度・湿度38%の環境で6回にわたって3時間の作業を経験した参加者は、心拍数と深部体温の上昇、さらに大量の発汗による水分不足に陥った。
 査読段階だが、研究によって分かったのは扇風機の使用や十分な水分補給が体の負担を和らげることだ。
 しかし、ジェイ氏の研究では湿度が高くても扇風機が効果を発揮し得ると判明した。
現在は、40度超の環境で扇風機を使用しないように呼び掛けている。
 ジェイ氏の研究室から生まれた企業、EMUシステムズは全豪オープンが開かれるアリーナなどに温度や湿度、放射熱を測定するセンサーを設置している。
 実際、23年の全豪オープンでは気温が危険なレベルまで上がったため屋外試合をいったん中止。
マーガレット・コート・アリーナの屋根が閉じられるPhotographer:MarkKolbe/GettyImages 研究の今後  ジェイ氏の研究室は今、将来のリスクにさらなる備えができるよう、一段と厳しい熱波をシミュレーションして人間の深部体温は従来の想定より最大40%速いペースで危険レベルに達することが分かった。
 一方、数日から数週間にわたって体を高温環境にさらすと徐々に慣れてくる「暑熱順化」の研究も進んでいる。
 しかし、どれだけの効果を人間は得られるのだろうか。
 「異常気象に立ち向かうなら、それをより良く理解する必要があるとケニー氏は話した。」

[紹介元] ブルームバーグ マーケットニュース 熱波の死者50万人時代、人体の限界探る研究者-室温40度で自ら実験台

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